クマ駆除

【観測史上最悪】なぜ「クマ駆除」がトレンドなのか? 異常出没と“守ってくれない”社会の二重の恐怖

こんにちは。 「クマ駆除」というキーワードが、ニュースやSNSを席巻しています。

あなたも、連日報じられる被害のニュースに、これまでとは違う、生々しい恐怖を感じているのではないでしょうか。 僕もそうです。「犬や猫ではなく猛獣」 が、すぐそこまで来ている。もし出会ったら…と想像するだけで、本当に腰が抜けそうになります。  

「なんとかしなければ行けない問題だ」 「でも、どうすれば…?」  

この漠然とした、しかし強烈な「恐怖」と「焦り」こそが、今のトレンドの正体です。 しかし、このトレンドの裏側を深く調べていくと、私たちが直面している危機が、単に「クマが増えた」という話だけではない、もっと根深い「社会の問題」であることが見えてきました。

この新カテゴリ「クマ駆除」では、全6回にわたり、この「クマ・クライシス」の真相に迫ります。 第1回は、まず「今、何が起きているのか?」、その恐ろしい現状を直視することから始めます。

1. 現状①:これは「災害」だ。観測史上最悪の被害

まず、今感じている「今年は異常だ」という感覚は、正しいです。 2025年のクマによる被害は、**「観測史上最悪」**のレベルに達しています 。  

  • 死亡者、過去最多を更新:環境省の発表では、2025年度のクマによる死亡者は10月15日時点ですでに7人となり、この時点で過去最多を更新しました 。その後も被害は止まらず、10月末時点の報道では死亡事故が12件に達したとされています 。  
  • 全国的な異常出没:この危機は、特定の地域だけの話ではありません。例えば岩手県では、今年7月・8月のクマ出没件数が過去5年間で突出しており、7月は1024件と、前年(554件)の約2倍近くを記録 。宮城県でも人身被害を受け「クマ出没警報」が継続されています 。  
  • 政府が「深刻な事態」と認定:この状況を、政府も「国民の安全安心をおびやかす深刻な事態」 と認定。10月31日には異例の関係閣僚会議が開かれ、防衛省や環境省を巻き込んだ緊急対応が指示される「災害級」の事態 となっています。  

2. 現状②:「境界線」の崩壊。クマが“街”にいる日常

さらに深刻なのは、被害の「数」だけでなく「場所」です。 僕たちが「クマは山奥にいるもの」と思っていた常識は、2025年、完全に覆されました。

10月30日には、わずか1日で16の都道府県でクマの被害や出没が報じられました 。その場所は、もはや「山里」ではありません。  

  • 北海道札幌市中央区の市街地  
  • 東京都西多摩地域  
  • 富山市中学校そば  
  • 新潟市のJ1リーグクラブハウス付近  

これらは全て、人口が密集する「都市部」や「市街地」です。 従来、山と人里の間にあったはずの「境界線(バッファゾーン)」が、事実上消滅してしまった。それが2025年の恐ろしい現実です。

3. トレンドの核心:なぜ「駆除」がこれほど騒がれるのか?

「クマが怖い」 「被害が過去最悪」 …でも、それだけならトレンドになるキーワードは「クマ 出没」や「クマ 被害」のはず。

なぜ、今これほどまでに「クマ駆除」という、直接的な言葉がトレンドになっているのでしょうか?

それは、私たちが直面している危機が、 「(A) クマがすぐそこにいる」という生物学的な恐怖 だけでなく、 「(B) 私たちを守ってくれるはずの“駆除体制”が、機能していない」という社会的な恐怖 …この「二重の恐怖」に同時に襲われているからです。

この問題を象徴するのが、2025年秋、北海道積丹(しゃこたん)町で起きた「猟友会パワハラ・出動拒否問題」です 。  

積丹町で起きた「公衆安全の麻痺」

非常に簡潔にまとめると、こういう事件です。

  1. 発端:9月27日、クマ駆除の現場に現れた町の町議会副議長が、対応した猟友会のハンターに対し、「誰にモノを言ってるか」「金貰えるからだろ」「辞めさせてやる」など、地位を背景にした「パワハラ」とも取れる発言を行いました 。  
  2. 対立:これに対し猟友会は激怒。「副議長の謝罪」などを求め、町からの「出動要請」を拒否する事態に発展しました 。  
  3. 膠着:しかし、副議長は「僕は悪くない」と謝罪を拒否 。両者の対立は1ヶ月以上も解決しませんでした。  
  4. 最悪の事態:そして10月30日。「小学校の校門前にクマ2頭が居座っている」という緊急通報が入りました 。  

…小学校の門に、クマがいる。 しかし、町が頼るべき専門家(猟友会)は、政治的な対立によって「出動できない」状態です。

結果、地元の美国小学校・中学校は「臨時休校」を決定 。 クマという「猛獣」の脅威と、人間社会の「対立」が組み合わさった結果、地域の安全と教育という行政サービスが、完全に麻痺してしまったのです。  

まとめ:私たちが直面する「二重の危機」

今、私たちが「クマ駆除」というキーワードに強く反応してしまうのは、この積丹町の事件が決して他人事ではないからです。

「クマが怖い」 「でも、いざという時、本当にハンターは来てくれるのか?」 「ボランティア同然の活動 で、政治家からパワハラを受けてまで、誰が命がけの駆除をしてくれるんだ?」  

私たちが直面しているのは、「クマの異常出没」という自然界の危機であると同時に、地域の安全を守る「駆除体制の崩壊」という、社会的な危機でもあるのです。 この「二重の危機」こそが、「クマ駆除」トレンドの核心です。


【次の記事(第2回)予告】 では、そもそもなぜ、こんなにもクマは人里に出てくるようになってしまったのでしょうか? あなたが感じているように「山に食べ物がない」から? それとも…? 次回は、クマが出没する「本当の理由」について、深掘りしていきます。

  • この記事を書いた人

ワッシィ

生きてるうちにおもろいことしときましょ!

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