クマ駆除

この先のクマ対策は?

私たちが今、何をすべきか。「クマ危機」シリーズ最終提言

こんにちは。 全6回にわたり、2025年の「クマ・クライシス」を追いかけてきました。 このシリーズは、僕自身が感じた「猛獣がすぐそこに来ている」 という恐怖と、「クマも命がけでは?」 という葛藤から始まりました。  

私たちは、このリサーチの旅で、多くの「知られざる現実」を学んできました。

  1. 今年の被害が「観測史上最悪」 であると同時に、積丹町 のように「駆除体制そのものが崩壊」しつつあるという「二重の危機」。  
  2. 原因は「山の不作(プッシュ要因)」 だけでなく、私たちが放置した「柿・栗(プル要因)」 がクマを**“学習”させてしまった**こと。  
  3. 「死んだふり」の是非 といった生存術 。  
  4. そして、軽井沢の「ベアドッグ」 や海外の「ゴミ管理」 といった、「殺す」以外の“賢い共存” がすでに実践されているという希望。  

すべてを学んだ今、僕たちは「この先、何をすべきか?」という最後の問いに直面しています。 これは、誰か他人事の対策ではありません。政府、地域、そして私たち個人が、それぞれ「今すぐ」やるべきことです。

1. 【短期】政府がすべきこと:公衆安全の「止血」

まず、今この瞬間も命の危険に晒されている地域 があります。 第4回で見たように、積丹町 の例では、地域の駆除体制が政治的対立で「麻痺」してしまいました。ボランティアベースの猟友会 に依存する従来の体制は、すでに限界です。  

だからこそ、政府が10月31日の関係閣僚会議で打ち出した「緊急銃猟」の迅速な運用や、専門的な「ガバメントハンター」の育成 は、必要な「緊急止血措置」です。 地域の機能が麻痺した以上、公衆安全の最後の砦として、国が専門家を派遣し、住民の命を守るのは当然の責務です。  

2. 【中期】地域・自治体がすべきこと:「境界線」の再構築

「駆除」で緊急事態を乗り切ったとしても、根本原因(第2回で見たプル要因 )を放置すれば、来年も同じ悲劇が繰り返されます。 今、自治体や地域社会がすべきことは、「奥山(クマの生息地)」と「人里(人間の生活圏)」の**「境界線(ゾーニング)」を、科学的に引き直す**ことです 。  

  • 「賢い共存」への投資:第5回で見たように、成功例はあります。軽井沢 のように専門NPO(ピッキオ)と契約し、ベアドッグ による「追い払い」と「学習」 を専門的に行う。  
  • 「人里は魅力がない」と教える:北米のカンモア市 のように、条例で「耐クマ仕様ゴミ箱」 の導入を義務化する。  
  • ハンターの「専門職」化:ボランティアに“汚れ仕事”を押し付ける のではなく、彼らを公的な「野生動物管理官」として適正に雇用し、その技術と経験に報いる体制に移行すべきです。  

「共存」とは、何もしないことではありません。人間側が知恵とコスト(税金)を払い、クマに「人里は危険で、エサもない場所だ」と“教育”し続ける、終わりのない「管理(マネジメント)」なのです。

3. 【長期】私たち個人が「今すぐ」すべきこと

政府や自治体の対策を待っているだけでは、あなたの家の裏庭に来るクマはいなくなりません。 この問題の「プル要因」 を作ってしまったのは、他ならぬ私たち自身です。  

だからこそ、私たち個人が「今すぐ」できる、そして「絶対にやらなければならない」対策があります。

  1. “ごちそう”を撤去する(プル要因の排除) これが最も重要です。クマを「招待」するのを、今日からやめましょう。
    • 生ゴミは、絶対に夜間や屋外に放置しない 。  
    • 放置果樹。家の庭に、収穫しない柿、栗、リンゴ はありませんか? それはクマにとって「ウェルカム・フルーツ」です。必ず収穫し、管理する。できなければ伐採する。地域でNPOが伐採活動 をしていれば、それに協力する。  
    • キャンプや登山で、ゴミを絶対に持ち帰る 。  
  2. 「予防」を徹底する(遭遇の回避) 第3回で学んだ基本の徹底です。
    • 山や出没地域に入る時は、クマ鈴、ラジオ、アプリで自分の存在を知らせる 。  
    • 活動が活発な早朝・夜間 の外出を控える。  
  3. 「コスト」を理解し、支援する 「耐クマ仕様ゴミ箱」 には設置費用がかかります。「ベアドッグ」 の育成・維持にも費用がかかります。 「クマ対策のために税金が上がる」ことを受け入れ、その活動を「クレーム」ではなく「支援」で支える。 そして、命がけで出動してくれる猟友会 の方々に、敬意を払う。 それも、私たちにできる重要な「対策」です。  

シリーズ最終結論:「共存」とは、人間側の「覚悟」である

全6回のリサーチを終えて、僕がたどり着いた結論です。 2025年の「クマ・クライシス」 は、「山の不作」 が引き金になった「自然災害」であると同時に、 私たちが「人里の管理」を放棄し(プル要因)、 「公衆安全の担い手」への敬意を失った(駆除体制の崩壊) ことで起きた、 **「人災」**でもありました。  

「クマも命がけ」 で生きている。 だからこそ、私たち人間が「賢く」ならなければいけない。  

「共存」とは、クマとの間に「明確な境界線」を引き、その境界線を、私たち人間が責任とコストを持って維持し続けるという、「覚悟」そのものなのだと思います。

この長いリサーチにお付き合いいただき、本当にありがとうございました。 あなたの「なんとかしなければ」 という思いが、まずは自宅の「ゴミ出し」や「庭の柿の木」を見直す、小さな、しかし確実な一歩に繋がることを願っています。  

  • この記事を書いた人

ワッシィ

生きてるうちにおもろいことしときましょ!

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